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06
April 2021

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多様性としてのトレーサビリティ-ダイヤモンドの販売でストーリーテリングが重要となる理由

世界的な価値観となった「多様性」は、ダイヤモンド産業にも欠かせない要素です。

ダイヤモンド産業は、伝統という安定した基盤に支えられた老舗産業でありながら、常に驚くべき多様性を維持してきました。ダイヤモンド産業では、アフリカの採掘職人やロシアやカナダの採掘会社の役員から、活気溢れるスーラトの製造拠点やラマト・ガンやアントワープの取引拠点、ロンドンの研究所の宝石学者やニューヨーク・ダイヤモンド・ディストリクトのダイヤモンド販売業者に至るまで、あらゆる大陸・文化・社会的地位の人々が働いています。

現代のダイヤモンド業界は、多くの民族と文化からなる、様々な色彩や要素を含んだ伝統とテクノロジーが両立する産業です。ダイヤモンド産業では、感情面と金銭面の両面から人生を豊かにできる、美しく意味のあるダイヤモンドを作り出すという共通の目標に向け、人間と機械との真の意味での共同作業が行われています。

これらすべてを支える多様性は、あらゆるダイヤモンドに欠かせない側面でもあるのです。

ダイヤモンド-地球の多様性の象徴

世界中の誰もが、それぞれに固有の指紋を持っています。あらゆる特徴や母斑は、それぞれに固有の遺伝子の組み合わせを形成する、無作為なエネルギーが集まることで生み出されます。ダイヤモンドも同様に、自然のエネルギーがまたとない組み合わせで融合することで、世界中どこを探しても似たものがない、まさに唯一無二の宝石が誕生するのです。

天然ダイヤモンドは、地球内部の高圧な地質環境で数十億年以上の年月をかけて生成されます。ダイヤモンドの原石は、鉱山から採掘されることで「誕生」し、プランニング・カット・研磨からなるそれぞれの軌跡をたどっていきます。

この軌跡は、内包物や欠陥の構成や位置、蛍光性、乳白性、わずかな異変など、一連の様々な要素により左右されます。事実、肉眼で見えるもの、および、高度な画像技術の助けなしには見えないものを含むダイヤモンドのあらゆる視覚特性は、製品としての宝石の特徴や個性の重要な要素となるのです。

人間同様、ダイヤモンドは果てしなく多様です。原石には、研磨により宝石として生まれ変われる無限の可能性があります。こうした複雑さこそ、ダイヤモンドの多様性が美しく神秘的である所以ですが、それは同時に課題でもあります。それぞれのダイヤモンドの個性や美しさを消費者に伝えきるためには、そうした複雑な軌跡を紐解かなければならないからです。

ソリューションとしてのトレーサビリティ

すべてのダイヤモンドにはストーリーがあります。そしてそのストーリーは、採掘された原石の多様な内包物が、SarineのGalaxy®技術により自動検出・解析される瞬間に始まります。原石が生まれ持ったあらゆる色や特徴が分析・記録され、二つと同じもののない個性的な宝石の誕生に向けた軌跡が始まるのです。

次の加工プランの作成では、SarineのAdvisor®ソフトウェアが限りない選択肢の中から一連のカットプランを算出し、それぞれの原石の魅力を最大限に活かしたダイヤモンドを削り出します。ダイヤモンドの形状、大きさ、重さ、カットの精度、クラリティ、ライトパフォーマンスは皆、プランニング段階での判断に左右されます。カットプランのわずかな変更が、ダイヤモンドの運命を変える可能性もあります。

この長く、多様性とデータに富んだ軌跡の追跡・証明・伝達は、トレーサビリティ技術なしには実現しません。

それぞれに顔と可能性の異なるダイヤモンド

人間の識別では、顔認識技術や生体認証パスポートなどが、生物学的特性に基づく真正な識別情報を収集・保管する役割を果たしています。

Sarineの「ダイヤモンドジャーニー™」トレーサビリティソリューションは、それぞれのダイヤモンドの物理的特徴や表面を、原石から宝石に至るまでのライフサイクルを通して最も細かい点に至るまで解析し、ダイヤモンドの真の多様性を反映した、証明可能なデジタルレポートとして提供します。いわばダイヤモンドの「認識システム」と呼べるこのツールは、生産過程のあらゆる時点でダイヤモンドの「顔」を素早く認識できるよう設計されています。

これらの多様なダイヤモンドの顔は、ダイヤモンドの軌跡として反映されます。

二人と同じ人間がいないように、二つと同じダイヤモンドは存在しません。ですが、どんな人やラブストーリーにも、完璧にマッチするダイヤモンドが必ず存在します。トレーサビリティ技術は、ダイヤモンドの多様性を解き放ち、あらゆるダイヤモンドの個性的な生い立ちにスポットライトを当てることで、お客様による完璧なダイヤモンドの発見をお手伝いします。

 

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