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3月 2020

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ダイヤモンドグレーディングの未来

David Block, CEO, Sarine Technologies 

一昔前に家で映画を観たかった時どうしていたか、覚えていらっしゃいますか? レンタルビデオ店のことを覚えていますか?

忘れてしまったという方のために、簡単にご説明します。車でレンタルビデオ店に行き、棚に並んだビデオテープから観たいものを選び、家に帰り、ポップコーンを作ってビデオを観るのです。

面倒なのは、それだけでは終わらない点です。観終わったらビデオを期限内に返却しないと、私も何度も支払ったことのある延滞料金を請求されます。それが、Netflixの登場により一変しました。いえ、Netflixの前に、DVDオンライン宅配サービスがあったのを忘れてはなりません。革命的な進化です!

しかし、それも遅くても前日には予約が必要で、思いついたその場で映画を観られる術は当時はありませんでした。それが、テクノロジーの進化や消費者ニーズの変化に伴いNetflixにより同社初の動画配信サービスが2007年に立ち上げられたことで、自宅での映画鑑賞がそれまでとは様変わりしました。観たいものを観たいときに観られるようになっただけでなく、それぞれの利用者におすすめの映画も的確に教えてくれます。

こうした現象が、ダイヤモンドグレーディングにどう関わってくるのでしょうか?

過去30年間にわたり、テクノロジーはダイヤモンドの製造をあらゆる点から劇的に変化させ、時間、リスク、生産量、価格を劇的に改善してきました。それにも関わらず、ダイヤモンドグレーディングにはここ30年間大きな変化はもたらされていません。

最初の例えに戻ると、ダイヤモンドグレーディングはまだレンタルビデオの時代から抜け出せずにいます。現在も人間の手作業が主体のため、(それ自体が時間と費用のかかる存在です)グレーディング専門の研究施設にダイヤモンドを輸送し、結果が出るまで1〜2週間は待たなければなりません。また人的ミスを免れず、一貫性に乏しいのも欠点です。さらに、たとえグレーディングが完了しても、グレーディングレポートはニーズへの対応に必要な包括的なソリューションとなる内容ではありません。

では、ダイヤモンドグレーディングの未来像について、時代遅れの「レンタルビデオ」モデルから現代の「Netflix」モデルへの進化をどう実現すればよいのでしょうか。テクノロジーは、そうした進化の鍵となる要素で、過去数年間にわたり、ダイヤモンドグレーディング技術は急速なペースで発展してきました。Sarineは2017年、カラーおよびクラリティのグレーディングを自動化する第一世代のダイヤモンドグレーディングテクノロジーを発表し、それ以降、中核的なグレーディング技術の改良に休むことなく取り組んできました。

この第一世代の技術により、人的ミスの要素が排除された、より高い一貫性と精度を備えたグレーディングがすでに実現していますが、これは始まりに過ぎません。グレーディング技術の継続的な発展により、これまでとは全く異なる新たな可能性の世界が開かれつつあります。本記事では、テクノロジーがもたらしている2つの主な変化と、Netflixによる家庭用ビデオ市場の席巻に匹敵する革命をダイヤモンドグレーディング分野で起こすにはどうすればよいかという点を中心にお話しします。

テクノロジーがダイヤモンドグレーディングに革命をもたらしている2つの理由

即時グレーディングの実現

物流は興味をそそる話題ではないかも知れませんが、消費者があらゆる物を瞬時に欲しがる今日の世の中で物流が及ぼす影響は劇的なものです。レンタルビデオ時代にレンタルビデオ店まで車を走らせなければならなかったように、現在のダイヤモンドグレーディングでは、グレーディングのために原石を研究所に輸送し、石がレポートと一緒に返送されるまで辛抱強く(通常数週間)待たなければなりません。

現在のグレーディング技術は、社内グレーディングを実現できる日がさほど遠くないレベルにまで発展しています。実現すれば、グレーディング工程の質や信頼性を損なうことなく、メーカーは時間や費用を節約できるようになります。それどころか、実際にはグレーディングの質や一貫性そのものが向上するのです!メーカーの施設内に設置されるグレーディングシステムがグレーディングに必要な情報を収集し、収集したデータをSarineの安全なクラウドにアップロードすることで、クラウドが自動的にダイヤモンドをグレーディングし、メーカーはダイヤモンドを研究所に送る手間や人的ミスの可能性を心配することなくグレーディングを受け取ることができます。

大したことではないように思われるかもしれませんが、たとえば、もしレンタルビデオ店でビデオを半額でレンタルできるとしたら、Netflixの利用をやめ、レンタルビデオ店の利用を再開するか考えてみてください。そのような誘いに乗る人は、多くはいないでしょう。今日の世の中では、お金や時間を節約できることはもちろん、それぞれの優先順位に基づき行動し、変化し続ける市場ニーズへ迅速に対応できる柔軟性が求められます。それは、ダイヤモンドグレーディングを永久的に変化させるものです。

それぞれの購入者に適したダイヤモンドの提供

Netflixによりもたらされたもう一つの革命的な変化は、それぞれの消費者の好みにより合う映画を選びやすくする工夫です。皆さんレンタルビデオ時代には、好みではない映画を借りてしまったことが何度となくあるはずです。もちろんビデオはジャンル別に分けられていましたが、ジャンルだけで好みの映画を探し当てるのは簡単なことではありません。グレーディングレポートに基づきダイヤモンドを購入する場合にも同じことがいえます。ダイヤモンドグレーディングレポートは、ダイヤモンドの企業間取引の向上により大幅に進化しましたが、現在のグレーディングレポートの情報が本当に取引に役立つかは疑問です。ダイヤモンドの取引では「4C」が最も有名な基準ですが、ダイヤモンドの価格は、たとえば内包物の種類、原石内部の内包物の位置、テーブルの下に見えるクラリティ、乳状性、色合いなど、その他の多くの要素にも左右されます。また、それらの基準のどれを特に重視するかも、小売業者により異なります。

そのため、ダイヤモンド価格の目安となるべき業務用価格リストがあるにもかかわらず、同じ4C評価の2つのダイヤモンドの価格帯に大きなばらつきが生じるのです。ダイヤモンドグレーディングレポートの大半の内容は、4Cのみまたは4Cを中心とするもので、ダイヤモンドの原産地や価格の特定に必要な付加的な情報は一切含まれていません。そのため、今日のグレーディングレポートは、製品を絞り込む上では役立っているものの、様々な小売業者の特定のニーズには対応しきれないのが現状です。ダイヤモンドグレーディングテクノロジーは、商品のより細かい分類が可能な段階まで進歩しており、これにより買い手・売り手間の取引がさらに効率化することで、4C基準を満たしている商品のリジェクション率が低下すると見られています。

一方で、テクノロジーと人工知能は、まだ真価を発揮しきれていません。

たとえば、利用者に直接確認することなく利用者の好みを学習し、利用者にぴったりの映画をおすすめするNetflixの手法を、ダイヤモンドに活かせない理由はありません。極めて基本的な4Cにばかり頼るのではなく、自動グレーディングテクノロジーによりもたらされる大量のデータを活用すれば、買い手と売り手の両方を支援しながらより適した商品を提供できるようになります。グレーディングレポートは目的を達成するための手段であり、それ自体が目的ではないことを踏まえれば、グレーディング工程を一新し、ダイヤモンドグレーディングに関する常識を再定義すべきではないでしょうか。

Sarineは、ダイヤモンド業界の革命的な発展を再び先導できることを楽しみにしています。グレーディングの新時代はすでに始まっています。

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