ハート&キューピッド
ダイヤモンドに秘められたシンメトリーを探る。
地球上で発見されるダイヤモンドの大半は、他の大半の鉱物より地球の中心部に近い、深さ140キロメートル、温度900〜1400℃の上部マントルで生成されました。エクロジャイトやかんらん岩などの深成岩の内部で生成され、火山の噴火により地表近くに持ち上げられたダイヤモンドは、生成された岩の中ではなく、キンバーライトやランプロイトなどの移動先で見つかることが多いのも特徴です。
ダイヤモンドの採掘方法には、一次鉱床の母岩から直接採掘する方法と、二次鉱床の土や砂利や砂から採鉱する方法があります。二次鉱床は一次鉱床の風化によりできた鉱床で、水により運ばれたダイヤモンドを河床、海辺、海底の砂の中から採鉱します。
原石とは、加工や研磨が行われる前の、採掘された自然のままの状態のダイヤモンドのことです。
すべてのダイヤモンド原石には、長い年月にわたる天然ダイヤモンドの生成過程で生じる「バースマーク」と呼ばれる欠陥が存在します。バースマークには、内部に位置する「内包物」や、「フロー」と呼ばれる外面のキズが含まれます。内包物とフローには数多くの様々な種類がありますが、大半は以下に分類されます。
Cloud(クラウド):もやのような雲状の内包物。微小の内包物が多数集結することで形成されます。
Crystal(クリスタル):別の小さな鉱物結晶が内部に存在する、天然ダイヤモンドによく見られる内包物。
Feather(フェザー):羽のような見た目が特徴の、小さな割れ目が原因でできる内包物。
Graining(グレイニング):内部の結晶により形成される粒子状の線。粒子切断が必要なため、研磨加工の難易度が高くなります。
Natural(ナチュラル):カッティング業者により処理されない表面のフロー。原石からの重量ロスが最小限に抑えられていることを示す、良質なカッテイング加工の証となるフローです。
Blemish(ブレミッシュ):ダイヤモンドの表面のシミやキズ。自然に発生するものもありますが、大半はカッテイング加工中の外部要因により形成されます。
Scratch(スクラッチ):ダイヤモンドの表面に見られる細い線。自然に発生する場合とカッティング加工が原因のものがあります。
Pit(ピット):ダイヤモンドの表面に見られる、小さな陥没状の刻み目。
Nick(ニック):ダイヤモンドの表面に見られる小さなくず。カッティング中にファセットを追加することで取り除けますが、これにより輝きが低下する場合があります。
内包物やフローの大きさ、位置、数は、ダイヤモンドのカット・研磨方法を大きく左右します。内包物や表面のフローのない完璧なダイヤモンドは、希少性・価格共に非常に高くなります。