ダイヤモンドの認証および処理検出
顕微鏡、偏光顕微鏡
顕微鏡は、ダイヤモンド検査で最も重要となるツールの一つです。実際、経験豊富な鑑定士なら、顕微鏡で拡大して見るだけで、それ以上の検査を行わなくても十分な情報を得られる場合もあります。一方で、ダイヤモンドの検査には、高倍率オプションとトップクラスの照明機能が付いた、最も高品質な顕微鏡が不可欠となります。また、偏光フィルターを使えば、顕微鏡の分析機能をさらに高めることができます。鑑定士は、偏光フィルターを使うことで、II型や低窒素I型からのI型の識別だけでなく、場合によっては天然ダイヤからイミテーションダイヤや合成ダイヤの検出も行える場合があります。
蛍光性
ダイヤモンドの蛍光性および燐光の検査には、長波(365 nm)および短波(254 nm)のUVランプが使用されます。ダイヤモンドの大多数は、長波の点灯時に少なくともいくらかは発光しますが、短波の点灯時は発光しにくくなります。標準的なUVランプは、天然ダイヤと合成ダイヤの区別に特に有効となり得るツールです。
赤外(FTIR:フーリエ変換赤外)分光光度計
最も一般的な近代鑑定設備の一つである赤外分光光度計は、ダイヤモンドによる赤外放射の吸収/伝達を測定するための機器です。赤外分光光度計の用途には、以下が含まれます。
– 天然ダイヤモンドとイミテーションの区別を含む、物質の識別
– ダイヤモンドに構造的に含まれる窒素およびホウ素の検出・算定
– 赤外活性水素欠陥の検出
– 照射および照射後のアニーリングが原因の欠陥の検出
– 高圧高温処理されたI型ダイヤモンドの検出
– 天然ダイヤと合成ダイヤの区別
フォトルミネセンス/ラマン分光光度計
ラマン分光とフォトルミネセンス分光を一度に測定できる機器。ラマン分光法は、原子や分子の振動に基づく振動スペクトル手法です。鑑定士はこの手法を用いることで、振動する分子や原子の単色光の波長への影響を特定できます。ラマンスペクトルは、それぞれの宝石に特徴的なピークに基づきダイヤモンドとイミテーションダイヤを素早く簡単に特定できる、最も一般的な宝石特定手法です。
ラマン分光光度計では、強いレーザー光線が照射されるため、ラマン錯乱と同時にルミネセンスも測定できます。これがフォトルミネセンス分光法(PL)と呼ばれる、ダイヤモンドの欠陥を検出できる高感度手法です。吸収分光法により特定できる欠陥の大半は、PL分光法でも検出できますが、感度は後者の方がはるかに高いだけでなく、PL特性には、吸収分光法では確認できないものが非常に多数あります。PL分光法は、合成ダイヤモンドや高圧高温(HPHT)処理ダイヤの検出を含む、非常に幅広い用途に使用できます。