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14
December 2020

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2021年のダイヤモンド業界-復活への着実な歩み

世界はまだ、混乱状態にあります。世界的な感染拡大と荒れ狂う経済状況の影響で、消費者の行動も大きく変化し、予測不可能な状態が続いています。しかし、ダイヤモンド業界に関しては、感情のシンボルとしてのダイヤモンドの価値が引き続き評価されるなど、健全な回復を示唆する明確な兆候がいくつか見られます。そうした兆候の中には、製造へのゆっくりでも着実な復帰、ダイヤモンド業界をこれまでにない方法で活気づけているデジタルテクノロジーへの信頼増加などがあります。

1年で最も重要な季節の到来が近づく中、すでに始まっているダイヤモンド業界の復活に拍車をかける、2021年の動向や技術をまとめてご紹介します。

原石売上の着実な増加

2020年中は、ダイヤモンド原石市場は予想外かつ異例の低迷に見舞われましたが、現在の兆候は、ボツワナの例が示すように、2021〜2022年を通した堅調な成長を示唆しています。

ボツワナのダイヤモンド採掘部門は、同国のGDPの約2割を占め、デビアスはボツワナ産原石の約7割を取得しています。基幹産業であるダイヤモンド産業の復活に伴い、ボツワナは2021年に経済が7.7%成長すると予測しています。さらに、デビアスは9月に、ボツワナによる売上が57%急増したことを報告しています。感染拡大に対応するためのロックダウンにより、ボツワナ経済が24%縮小した2020年第2四半期とは比べ物になりません。

明らかな成長の兆しが見られるのはボツワナだけではありません。デビアスは、年末のホリデーシーズンに向け、原石の売上が12%以上増加していることに言及しています。デビアスは2020年の第9期販売サイクル(11月2〜16日)に、前年同期の4億ドルを上回る4億5000万ドルの売上を記録しました。これらすべての数値は、供給ライン下流における着実な成長の蓄積を示唆しています。

感染拡大中も「ダイヤモンドは永遠」

ほぼすべての産業が消費者の不安やロックダウンの影響を痛感している一方で、ホリデーシーズンの到来に向け多くの消費者がダイヤモンドジュエリーの購入を検討しています。デビアスの報告書によると、米国内に住む男性の60%が、ホリデーシーズンに向け恋人や配偶者のためのダイヤモンドジュエリーの購入を予定しており、自分へのプレゼントとしてダイヤモンドの購入を予定している女性も全体の33%近くに及びました。インドおよび中国に至っては、自分または他人のためにダイヤモンドジュエリーを購入するだろうと答えた消費者の割合が80%以上に及び、ダイヤモンドの高い人気がうかがえる結果となりました。

興味深い点は、「安定」より「前向きさ」を最も重要なニーズに挙げた消費者が、米国およびインドで最も多かった点です。こうした結果は、前代未聞のレベルで世界を揺るがした感染拡大さえも、ダイヤモンドが持つ感情的価値を壊すには十分ではないことを裏付けています。

消費者がすべての原動力

ダイヤモンド供給ラインは、これまで以上に消費者の需要に左右されています。そのため、COVID後に消費者が戻ってくる方法や時期は、今後の業界の状況に最も強い影響をもたらします。

すでに述べたように、最近の世界的な出来事は、消費者のダイヤモンドとの感情的なつながりを根本的に揺るがすには至っていないようです。しかし、現在多くの国を席巻する第3波のロックダウンや、2021年前半に向けたワクチン接種への期待感などが、経済への信頼や消費者の消費傾向に影響を及ぼしているのは明らかです。

CIBJO(World Jewellery Confederation:世界宝飾連合)の会長であるGaetano Cavalieri博士は、業界内の明るい兆候にもかかわらず、「2021後半までに供給ラインを通した動きが完全復旧するのを期待するのは楽観的すぎます」と述べました。同時に、製造の縮小により小売サイドの過剰供給が削減されたことで、結果的に供給ラインのバランスが再調整され、中流での財務的ストレスが解消される可能性があります。Cavalieri博士が言うように、「市場が回復すれば、業界はすぐに対応できるはず」で、これはダイヤモンド供給ライン上のあらゆる業者にとっての朗報です。

消費者による状況の変化への対応

IDEXレポートの著者Pranay NarvekarおよびChaim Even Zoharは、ダイヤモンド原石および研磨済ダイヤモンドの2021年の売上が、感染拡大が始まる前の2019年の水準以上になると予測しています。これは、2019年から現れ始めた、ダイヤモンド供給ラインでの好ましい変化によるものですが、同時に消費者がダイヤモンドやジュエリーの購入をあきらめていないという事実にも促されています。消費者はあきらめるどころか、「ニューノーマル」に適応し、小売シーンが復活するまでダイヤモンドの購入を遅らせる様相を見せています。たとえば、結婚式が中止されているのではなく単に延期されているように、ブライダル用ダイヤモンドジュエリーへのニーズや願望も、完全復活すると見られています。

デビアスのDiamond Insight Global Sentimentレポートでは、「新たな生活習慣に慣れた」と感じている消費者の割合が米国およびインドではそれぞれ65%、63%なのに対し、中国では85%に及び、中国で消費者感情の回復が特に進んでいる現状が明らかにされています。

また、「報復」消費という概念があるように、感染拡大の収束が明らかになり次第、消費の急増により業界が一気に活発化する可能性もあります。ロックダウンの規制の緩和に伴う裕福な消費者による買い物ラッシュは、報復消費の一種です。中でも、ダイヤモンドやジュエリーを含む高級品は、報復消費の理想的な対象となります。たとえば、中国・広州にあるエルメスの旗艦店は、営業再開からわずか1日で380万ドルという莫大な売上を記録しました。

在庫供給が減少する中での職人ジュエリー人気の上昇

ダイヤモンドの製造(研磨)が2019年に切り詰められたことで、供給ライン下流の供給量は圧迫された状態にあるにもかかわらず、消費者の需要は目覚めつつあります。小売店の在庫は減少し続けていますが、製造の減速により在庫の補充は追いついていません。

こうした現状は、来年伸びると予測されている職人ジュエリーが入り込むには絶好の状況を作り出しています。9月に発行されたデビアスのDiamond Insight Flash Reportによると、職人により手作りされるオーダーメイドのジュエリーの需要が増加しており、こうした傾向は、感染拡大に伴うロックダウンの、外出禁止中の行動面の影響に関連していると考えられています。世界中の人々が時間潰しのための自家製の活動に取り組んだことで、懐古の念や本物志向が拡大したこともそうした影響の一つです。そうした傾向がダイヤモンド・ジュエリー市場にも波及したことで、本物感、伝統的な職人技術、個別化をダイヤモンドジュエリーに求める傾向が強まっています。

小売分野のみならず、ダイヤモンド業界全体に及ぶオンラインの大躍進

感染拡大の開始以降、世界中の消費者が買い物や社交の機会を求めてインターネットに殺到しました。こうしたデジタルブームが長期的に消費者の行動にどう影響するかはまだ明らかではありませんが、2020年がeコマースにとっての節目の年になったことは明らかな事実です。2020年中のオンラインショッピングの総取引額は、過去最高の4兆1300億ドルに到達すると見られています。

デジタルでの交流および取引は、今年のダイヤモンド業界を消費サイドに限らず独占してきました。たとえば、旅行規制の世界的な施行により、2019年に立ち上げられたSarineのデジタル原石取引プラットフォームを導入し、アルロサが原石のオンライン取引を実施しました。この新技術は、感染拡大前にすでに業界で高い評価を得ていましたが、社会的距離の確保の義務付けによりオンラインへの移行圧力が高まったことで、その重要性や効果があらためて認識されました。

業界内のあらゆる業者がオンラインでの勤務や連携に慣れてきていることを踏まえれば、ダイヤモンド事業の運営方法に長期的な変化がもたらされることは確実です。CIBJO(World Jewellery Confederation:世界宝飾連合)のGaetano Cavalieri会長は、「物理的な隔離が強いられたことで、関係者のデジタルでの距離があらゆる意味で縮まり、まるで席を並べているように一日に何度も連絡を取り合うことも稀ではなくなりました:簡単にいえば、毎年数週間を出張に費やすより、Zoomを使う方がずっとコスト効率は高いのです」と述べています。

透明な調達活動への移行の加速

ダイヤモンド原産国のダイヤモンド鉱山労働者やその家族は、感染拡大の影響やその結果としての経済的苦難を肌で感じています。彼らはそうした状況の中、ダイヤモンドの調達・製造工程での透明性や適切な倫理基準の確保という、別の課題にも直面していることが、大手ジュエリー企業15社を調査したレポートで説明されています。

ダイヤモンド供給ラインの透明性に関する議論は、真のトレーサビリティを実現する世界初の技術の開発により今後も加速し続けていきます。SarineのDiamond Journey™などのトレーサビリティソリューションの導入に向けた動きは2021年も継続し、これにより、サプライチェーンを通した原産地データの認証が確保されるだけでなく、現代のジュエリー店には欠かせないエンターテイメント性と説得力を併せ持ったデジタルダイヤモンド体験を消費者に提供できるようになります。

2021年以降は、ダイヤモンド業界の継続的な変化により、あらゆる場所でのダイヤモンド鑑定を実現することで第三者鑑定機関への輸送の手間を省けるSarineのGrading at Sourceなどのより高度かつ先進的なソリューションでさえ、標準化していくでしょう。

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